強豪チームに名ヘッドコーチあり、といった言葉を聞いたことはないでしょうか。実はプロ野球チームには監督の右腕として、ヘッドコーチと呼ばれる人がいます。
外国では監督のことをヘッドコーチと呼ぶ場合があるのですが、日本ではそれぞれ別の人を指しています。そして役割も違っていて、人によってはヘッドコーチは監督よりも重要だと言われています。理由はメジャーなどではあまり見られない、日本のプロ野球独特のやり方が影響しているのかもしれません。
例えば、あるスター選手が引退したとします。すると二、三年ほど解説者として仕事をしたのち、監督に就任するということは珍しくありません。早い人だと引退した翌年、場合によっては選手兼監督をするケースだってあります。
ただしいくら現役時代に優秀な成績を残したからと言って、監督としての資質があるかどうかは別問題です。
現に「名選手、名監督にあらず」という格言もあるくらいです。確かにスター選手が監督になると、注目させるため集客にはむいています。ところが長いシーズンを戦うにチームをまとめなければいけません。それなのに控え選手をうまく扱えない、スランプに陥った選手の悩みが理解できない場合があるのです。
そんな時に頼りになるのがヘッドコーチです。ヘッドコーチを任される人の多くは、現役時代にキャッチャーや内野を主戦場としていた人たちです。このようなポジションは、打者を観察して球種を決めたり、一球ごとに守備位置を変えたりしなければいけません。つまり野球に詳しくなければ務まらないのです。加えて矢面に立つことが多い監督とは違い、日陰の存在であるヘッドコーチには、現役時代に活躍した人が抜擢されることはほとんどありません。そのため作戦面では監督にアドバイスができ、控え人たちの悔しさや悩みが理解できるため、選手のケアが行えるのです。おかげで優秀なヘッドコーチがいてくれるとまとまりやすく、強豪チームになる可能性が高まるというわけです。